FA機器におけるセンサの基礎知識と種類別の役割

はじめに

FA（ファクトリーオートメーション）機器に欠かせない部品の一つが「センサ」です。センサは、光や音、圧力などの物理量を電気信号に変換し、自動制御の指令として活用されます。本記事では、さまざまな種類のセンサの特徴や、その具体的な用途について詳しく解説します。

1. センサの基本的な役割

センサの基本的な役割は、物理量を検出し、それを電気信号に変換することです。検出する物理量には、光、音、温度、圧力、磁力、動きなどさまざまな種類があります。FA機器では、これらの信号を用いて動作の指示や位置制御、安全確認を行い、自動化と効率化を実現しています。

2. 接触センサによる検出

接触センサは、対象物に直接触れることでその有無を確認するセンサです。たとえば、リミットスイッチやレバータイプのスイッチが代表例です。以下は代表的な使用例です：

リミットスイッチによる位置検出

たとえば、回転する円盤にドグ（突起）をつけ、リミットスイッチをオンオフさせることで位置を検出します。これにより、装置の特定位置で停止させるなどの制御が可能になります。

レバーによる検出

特定の場所に物があるか確認するため、スイッチのレバー上に物を置き、その重みでレバーが動作する仕組みです。

接触センサは信号を確実に得られますが、通路に障害物がない場合や、機器の構造上、対象物に触れる余裕がある場合に用いるのが適しています。

3. 非接触センサの種類と用途

光電センサ

光電センサは、光を使って対象物の有無を確認するセンサで、ワークに触れずに検出が可能です。反射型と透過型の2種類があります。

反射型光電センサ

一つのセンサヘッドに、LED光源と光の反射を検出する受光器が内蔵されています。反射光の強度によってワークの有無を判別し、PLCなどの制御回路に接続します。ただし、表面状態や色の影響で検出精度が変わることがあります。

透過型光電センサ

投光器と受光器が分かれたセンサです。ワークが光を遮るとスイッチが切り替わる仕組みで、表面状態の影響を受けにくく、安定した検出が可能です。場所を取りますが、検出の精度が高く、対象物が完全に光を遮る場合に効果的です。

近接センサ

ワークがセンサに近づいたときの磁界や静電容量の変化を検出する近接センサも多用されます。次のような種類があります：

高周波型近接センサ

金属が近づくと磁界が変化し、それを検知します。金属製の部品や装置の近接検知に適しています。

静電容量型近接センサ

静電容量の変化を検知することで、金属だけでなくプラスチックや液体も検出可能です。応答速度はやや遅いため、用途に応じて選択が必要です。

磁気スイッチ

磁力のある部品が近づいたときに信号が発生します。耐水・耐油仕様のものが多く、さまざまな環境下で活用できます。

超音波センサ

超音波を使って対象物までの距離を測るセンサです。空気を媒介にするため、風や温度変化の影響を受けやすいですが、透明なガラスやフィルムの検出にも対応可能です。距離測定や位置確認に広く用いられています。

人感センサ

体温などにより放射される赤外線を検出し、対象が近くにいることを確認します。動作が要求されるエリア内に人の存在を感知して照明をオンにするなど、安全性向上の用途にも適しています。

4. 計測型センサの活用

FA機器には単なる検出だけでなく、数値を計測するセンサも必要です。これにより、温度や圧力、流量などの測定が可能になります。

温度センサ

サーミスタや熱電対を利用し、抵抗値の変化によって温度を計測します。FA機器内の温度管理や設備の保護に役立ちます。

流量センサ

流路に羽車を設置し、回転数から流量を検出する方法や、温度変化による流量計測のセンサもあります。流体の流量管理や供給制御に用いられています。

変位センサ

対象物との距離や位置を検出するために使われ、アナログ信号として出力されることが多いです。ポテンショメータ、光学式、レーザ式、超音波式など、対象に合わせた検出方法が選ばれます。

ロードセル

ひずみゲージを使って物体の重さを計測するためのセンサです。圧力を加えたときのわずかな変形を検知し、力や重さの測定に活用されています。

5. センサの信号処理と出力

多くのセンサは、検出した物理量を電気信号に変換し、必要に応じて増幅やデジタル信号への変換が行われます。例えば、計測型センサでは、アンプを通じて信号が増幅され、一定の閾値を超えた場合にオンオフ信号として出力されます。これにより、PLCに直接接続し、機器の動作指示として使うことが可能です。

さらに、センサの信号をアナログ形式で出力してPLCのアナログ入力ユニットに接続することや、デジタルデータに変換して数値データとして扱うことも可能です。こうした信号処理の技術により、FA機器は多様な環境や条件下でも安定して動作します。

まとめ

センサは、FA機器の効率的な動作と安全性を支える重要な要素です。接触型、非接触型、光や超音波を用いたセンサまで、目的に応じて選定することが、正確かつ信頼性の高い制御につながります。また、計測型センサの活用により、設備の状態や環境情報の把握が可能となり、データに基づいた適切な制御が実現されます。これらのセンサを適切に活用することで、FA機器の稼働効率が向上し、設備の長寿命化も期待できます。