モータの制御基礎知識：駆動回路とインターロック制御の仕組み

はじめに

モータは、FA（ファクトリーオートメーション）機器において機械装置を動かすために不可欠なコンポーネントです。モータ制御には適切な駆動回路と安全性を確保するインターロック機能が重要です。本記事では、モータの基本的な駆動回路の構成や、モータを効率的かつ安全に操作するためのインターロック制御について解説します。

モータの駆動回路の基礎

モータの種類に応じて駆動方法も異なりますが、基本的にはスイッチを使ってオン・オフを制御します。以下、一般的なモータとその駆動回路について説明します。

DCモータの駆動

DCモータは直流電源によって動作するモータです。通常、単純なスイッチでオン・オフを切り替えます。また、DCモータを逆回転させたい場合は、電源の極性を逆にすることによって実現できます。

単相交流インダクションモータの駆動

単相交流インダクションモータは、交流電源を利用するモータです。このモータは2つのスイッチを使って制御します。

二相誘導モータの駆動

二相誘導モータは、より大きな駆動力が求められる場面で使われ、マグネットスイッチを用いた制御が一般的です。マグネットスイッチのコイルをオンにすることで、モータの動作が開始します。コイルをオフにすると、モータも停止する仕組みです。

PLCによるモータ制御

PLC（プログラマブルロジックコントローラ）を用いることで、モータ制御の柔軟性と安全性が向上します。例えば、各スイッチをPLCの各入力端子に接続し、出力端子に電磁リレーをつなぐことで、PLCを介したモータのオン・オフが可能になります。これにより、PLCプログラム内で簡単にモータの動作を変更することができます。

モータのインターロック制御の重要性

モータ制御において、インターロック（相互連結）機能は不可欠です。インターロック制御を適用しない場合、モータが誤って正転・逆転同時に動作して焼き付きや故障を引き起こすリスクがあります。また、モータが機械的なリミットを超えて動作を続けると、機械自体の破損にもつながります。

インターロック制御の具体例

以下は、重い荷物を持ち上げたり下ろしたりするリフタ装置でのインターロック制御の例です。この装置には、上昇用と下降用のボタンスイッチがあり、それぞれの動作に応じたリレーがオンになります。

基本動作

上昇ボタンを押すと、上昇用リレーがオンになり、リフタが上昇します。同様に、下降ボタンを押すと、下降用リレーがオンになり、リフタが下降します。このような単純な制御回路では、両方のボタンが同時に押された場合にモータが故障する恐れがあるため、インターロック制御を追加する必要があります。

上昇・下降の相互ロック

上昇と下降の動作が同時に行われないよう、リレーの前にインターロック回路を組み込みます。例えば、上昇リレーの回路には、下降リレーの接点を含め、逆方向への指示がある場合に動作がキャンセルされるように設計します。これにより、上昇中に下降ボタンが誤って押されても、モータは停止し安全に動作します。

リミットスイッチによる保護

上昇・下降にはリミット（限界）位置があり、設定した位置以上にモータが動作しないようにリミットスイッチを設置します。上限リミットスイッチや下限リミットスイッチが作動すると、モータの電源が遮断され、それ以上の動作が制限されます。この保護機能により、リフタが安全な範囲内で動作し続け、モータや機械装置の損傷を防ぎます。

PLCでのインターロック制御プログラム

PLCを使用することで、インターロック制御はプログラム内で行えるため、機械的なインターロックよりも柔軟性があります。PLCでのインターロック制御は以下のように行われます。

ラダープログラムでの相互排除設定

上昇スイッチがオンになっている場合、下降用のリレーが作動しないようにb接点を追加し、プログラムで相互排除の設定を行います。逆に、下降スイッチがオンの場合も同様に上昇がキャンセルされる仕組みです。

リミットスイッチの設定

上昇・下降の動作制限として、リミットスイッチの状態をPLCが監視し、上限リミットがオンの場合は上昇用リレーの出力をキャンセルするプログラムを設定します。同様に、下限リミットスイッチの信号を活用して、下降用リレーをキャンセルすることで、安全性を確保します。

まとめ

モータ制御におけるインターロックは、安全で正確な動作を保つための不可欠な仕組みです。手動スイッチによるオン・オフ駆動やリレーを活用した制御、PLCでのプログラム設定により、柔軟なモータ制御が可能となります。また、リミットスイッチとインターロック回路の組み合わせにより、動作範囲の安全確保と装置の損傷防止が実現されます。モータ制御の基本を理解することで、FA機器の運用がより効率的かつ安全に進められるでしょう。