産業用ロボットとは？ ～産業用ロボットの歴史と定義～

1. 産業用ロボットの誕生と進化

産業用ロボットの歴史は1960年代後半にさかのぼり、アメリカで「ユニメート」と「バーサトラン」という二種類のロボットが登場しました。これらは油圧駆動の大型ロボットで、精度や性能は低く、工場での実用には限界がありました。しかし、日本の企業が輸入し、改良と研究を進め、特に自動車業界での溶接用途として採用されることにより、大きく発展しました。

1980年代には、コンピュータ技術や電動モータ技術の進展とともに、多関節型やスカラ型などの新たなロボットが誕生し、より小型で精密な操作が可能となりました。1990年代には、ロボットの性能向上だけでなく、価値創出を目指した開発が進み、現在も進化し続けています。

2. メカトロニクス技術の発展

1980年代は「ロボット元年」と称され、自動化技術の急速な発展とともに、産業用ロボットに対するニーズが高まりました。この時期には、減速機や軸受けなどの機械部品が大幅に進化し、ロボットのパフォーマンスが向上しました。

また、駆動方式も油圧や空気圧から電動式へ移行し、サーボモータの導入により制御性が高まりました。さらに、マルチタスクやマルチプロセッサ処理の技術が進化し、リアルタイム制御が可能になりました。これにより、より精密で柔軟な操作が実現しました。

3. 産業用ロボットの定義と安全規制

産業用ロボットには「メーカー側」と「ユーザー側」の立場で重要な定義があります。 メーカー側の定義として、日本産業規格(JIS)や国際標準化機構(ISO)により、産業用ロボットは再プログラム可能なマニピュレータで、3軸以上の動作が可能なものとされています。 一方、ユーザー側としては、労働安全衛生規則により、産業用ロボットの操作範囲や安全基準が規定されています。特に、80W以上の出力を持つロボットには安全柵などの対策が義務付けられています。

産業用ロボットとして認められない基準も設けられています。例えば、研究開発中である場合です。これは、産業用ロボットとしての安全性と製品保証が十分に担保されていない可能性があるためです。他に80W以下の小型出力ロボットなども産業用ロボットとして認められません。これら基準は、日本で定められたもので、海外では適応外となります

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